2006年12月15日 15:14 人前で話すときに大切なこと

私の仕事は人材育成及び能力開発のトレーナーです。
人からよく「どうしたら人前でうまく話せますか?」という
質問を受けることがありますが、そのたびに思い出される原体験があります。
忘れられない体験です。

研修講師になりたての35歳の頃です。
それまで研修企画あるいは営業、あるいは研修開催の準備、
オペレーションなどの仕事をこなしていましたが、
やっと研修講師としてデビューした頃でした。
ある公開研修でいきなりどもり始めてしまったのです。
参加者は50人くらいでしたが、受講生の前に立つと頭が真っ白になってしまい、
「こっこっこっこっこっ・・・」と言葉が出てきません。
顔中が熱くなり、滂沱の汗が流れました。
そして、その後企業研修に入っても、しばしばどもるようになってしまったのです。
特にある大手の管理職研修では、私がかなり若く見え、また未熟だったせいか
時々野次られたり、意地悪な質問をされたりしました。

まもなく私は研修講師から外されました。
憧れてやっと掴んだ研修講師の仕事だったのに、振り出しに戻ってしまったのです。
お医者さんに言ったら「突発性吃音」というありがたい病名をいただきました。
人前で話すことが怖くなりました。

能力開発、人材育成の仕事はやりがいもあり、
一生の仕事にしようと思っていた矢先だっただけに、そのショックは大きかったです。
私は20代の全てを司法試験に賭けてきましたが、受かりませんでした。
その後化粧品の販売を経て、この世界に入ったのです。
そしてまた大きな挫折。
ここで諦めたら終わりです。気力を振り絞る毎日でした。

沢山の人がいることをイメージして、来る日も来る日も練習をしました。
講師仲間の前で練習する時には、1回どもるたびに100円硬貨を空き缶に入れ、
それを没収されるのですが、毎回あっという間に1万2万になりました。
代々木公園にもよく行きました。何千人もいることを想定して大声で話すのです。
吃音という呪縛から逃れるまでに、2年以上かかったでしょうか。

最も大きかったのは、考え方を変えたことです。
それまでは先輩講師や他の講師の真似をしたり、
言葉を引用したりしていましたが、それは自分らしくない、と思ったのです。
間違えてもいい。たどたどしくてもいい。自分らしく、自分の生の声で伝えよう。
そう気持ちを切り替えてから、人前で話すことに徐々に慣れてきました。

人前で言葉巧みに話す方も沢山いらっしゃいます。
話術が長けている方も沢山いらっしゃいます。
それはそれでとても大事なことだと思いますが、最も大事なことは、
自分の思いを自分の生の言葉でリアルに伝えようとする率直な気持ちだと思います。
うまく話をしようとしないことです。
立て板に水のごとく話すよりも、
自分の言葉でとつとつと話す方が心に響くものです。

人はあなたらしいあなたの生の言葉を聞きたいのです。

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「自分らしく、自分の生の声で伝えよう」

私も佐藤先生の研修、とりわけダイナミックコースでアシスタントを務めさせていただいたときにこのことを学ばせていただきました。

受講生の皆さんの前に立ったとき、舌がもつれて思うように話すことが出来ない自分がいました。「アシスタントなんだからしっかりしなくちゃ。みんなのお手本にならなくちゃ。」そう考えれば考える程舌が強張って話せなくなりました。

おかげさまでたびたび研修に参加させていただくにつれ、その症状もなくなっていきつつあります。
「それも自分。自分は自分でよい。」と腹を据えたのがよかったのだと思います。完璧を演じようとせず、出来ないこと、まだまだ問題点もたくさんある自分を受け入れて、それでも、皆さんの役に立とうと考えることが出来たとき、強張りも少なくなりました。

これも佐藤先生の温かい研修に参加させていただき、受講生の皆さんにも受け入れていただいたからこそ得られた経験だと思っています。
これからもよろしくご指導ください。

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